金価格はほぼ一貫して上昇しており、連日最高値更新というニュースが入ってきます。また、新NISAでは全世界株に投資する「オルカン」が売り上げNo.1となる人気を集めています。このような背景から、金と全世界株に投資する投資信託「ゴルカン」が設定されました。
この記事ではゴルカンとTracers S&P500ゴールドプラスの2本の投資信託について、その中身や手数料を調べた結果を紹介します。
ゴルカンは仕組みが複雑で手数料が高く、おすすめできません。Tracers S&P500ゴールドプラスはS&P500と金価格に連動する低コストでリスクが高めの商品でした。結論としては、ゴルカンよりTracers S&P500ゴールドプラスのほうがおすすめです。詳しくは記事をご覧ください。
金への注目
長期の金価格のチャートを見ますと、下落している時期もあるものの、おおむね一貫して右肩上がりのチャートになっています。金は普遍的な価値やインフレ対策になるメリットがある上に値上がりもしているため、大きく注目されています。

オルカンの人気
2024年1~12月のSBI証券でのNISAつみたて投資枠買付金額ランキングでは、オルカンが1位を獲得しました。
- 三菱UFJ-eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 三菱UFJ-eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
金と株式に投資する投資信託
金と株式を投資対象に含む投資信託が相次いで設定されています。「ゴルカン」など金含む投信、広がる選択肢 分散対策で(日経新聞)などで紹介されています。
- 明治安田ゴールド/オール・カントリー株式戦略ファンド(愛称ゴルカン)
- Tracers S&P500ゴールドプラス
明治安田ゴールド/オール・カントリー株式戦略ファンド(愛称ゴルカン)

ゴルカンは、SGイシュアーが発行する担保付社債を主要投資対象とし、ゴールド/オール・カントリー株式戦略のパフォーマンスに連動する投資成果を目指します。担保付社債を通じて、実質的に世界株式と金に投資を行います。
ゴールド/オール・カントリー株式戦略の概要とは、市場センチメント(市場心理)を測る指標から市場を「リスクオン」、「安定的」、「リスクオフ」の3つの局面に分けて、リスクオンの局面では世界株式に概ね追随しながらも、リスクオフの局面において安全資産としての特性を持つ金への投資配分を高めることで、世界株式のみに投資する場合に比べ下落の抑制を目指す戦略です。
市場センチメントの測定はソシエテ・ジェネラルが提供するSGセンチメント指標を活用します。それぞれの局面において、世界株式と金の組み入れを合計100%になるように変更します。

信託報酬は年1.023%で、一般的なインデックスファンドより高く設定されています。

単純に金と全世界株式を購入するのではなく、市場センチメントを判断して投資割合を変更する複雑な仕組みになっています。市場センチメントを事前に予測できれば目論見通りオルカンを超えるパフォーマンスになるはずですが、株価の動きはあらかじめわからないので単純に手数料が高い投資信託に見えます。1年後の基準価格がオルカンよりいい成績であれば、購入を検討してもいいかもしれません。
Tracers S&P500ゴールドプラス

Tracers S&P500ゴールドプラスは、インデックスマザーファンド米国株式(S&P500)、株価指数先物取引および金先物取引に係る権利を主要投資対象とし、米国株式と金(それぞれ純資産総額の100%相当額)へ純資産総額の200%相当額の投資を行ないます。つまり、投資信託購入金額1万円分で、S&P500を1万円分+金1万円分の合計2万円分の資産に投資することになります。そのため、基準価額変動リスクは大きくなります。
Tracers S&P500ゴールドプラスが設定された2022年8月31日以降の基準価格(青線)の推移をS&P500(赤線)や金価格(緑線)と比較しました。目論見書通り、Tracers S&P500ゴールドプラスの基準価格はS&P500と金価格の合計に連動しています。この期間ではS&P500と金価格がともに上昇したため、Tracers S&P500ゴールドプラスの基準価格は素晴らしい成績を収めています。

信託報酬は年0.1991%で、一般的なインデックスファンド並みに低く設定されています。

個人的には、長期目線では今後もS&P500と金価格は上昇すると考えています。同じ考えの人にはTracers S&P500ゴールドプラスをおすすめできます。
まとめ
この記事ではゴルカンとTracers S&P500ゴールドプラスの2本の投資信託について、その中身や手数料を調べた結果を紹介しました。
ゴルカンは仕組みが複雑で手数料が高い商品でした。そのうえ、前提となる市場センチメントの判断は事前に予想できないはずなので、目論見自体が怪しいと感じます。
Tracers S&P500ゴールドプラスはS&P500と金価格に連動する低コストでリスクが高めの商品でした。長期目線では今後もS&P500と金価格は上昇すると考える人にはTracers S&P500ゴールドプラスをおすすめできます。