新NISAでは、オルカンとS&P500を指標とする投資信託(以下、S&P500と呼ぶことがあります)が非常に人気になっています。
この記事では、オルカンとS&P500の投資している国・地域、投資している銘柄、手数料、新NISAへの対応、運用実績を比較します。
そして、オルカンとS&P500のどちらを選べばよいのか、その考え方を紹介します。結論としては、分散したい人はオルカン、アメリカ経済の成長に期待する人はS&P500がおすすめです。
オルカンとS&P500とは?
オルカンは、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)という名称の投資信託に代表される、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動することを目指したインデックスファンドのことです。この投資信託1本で「全世界」の企業に投資するのと同じ効果が期待できることが特徴です。
S&P500は、例えばeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のような、S&P500インデックスに連動することを目指したインデックスファンドのことです。この投資信託1本で代表的なアメリカ企業全体に投資するのと同じ効果が期待できることが特徴です。
オルカン | S&P500 | |
正式名称 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
投資対象地域 | 全世界 | アメリカ |
投資対象資産 | 株式 | 株式 |
運用手法 | インデックス(ベンチマークと連動した値動きを目指す) | インデックス(ベンチマークと連動した値動きを目指す) |
ベンチマーク | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) | S&P500インデックス(配当込み、円換算ベース) |
委託会社 | 三菱UFJアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
オルカンとS&P500の比較
投資している国・地域の比較
実はオルカンはアメリカの割合が65.9%と非常に高いです。そのため、オルカンとS&P500は似たような値動きをします。
オルカンの投資先の2位以降の国は、日本、イギリス、カナダ、フランス、スイスと先進国が続いています。最初に登場する新興国は7位のインドですが、わずか1.9%です。オルカンはアメリカ約6割+先進国約3割+新興国約1割となっています。
オルカン | S&P500 | ||
アメリカ | 65.9% | アメリカ | 100% |
日本 | 4.7% | – | – |
イギリス | 3.1% | – | – |
カナダ | 2.7% | – | – |
フランス | 2.2% | – | – |
スイス | 2.0% | – | – |
インド | 1.9% | – | – |
ドイツ | 1.9% | – | – |
台湾 | 1.8% | – | – |
オーストラリア | 1.6% | – | – |
その他 | 12.2% | – | – |
投資している銘柄の比較
投資している銘柄についても、オルカンとS&P500はそっくりで、1~7位までは同じです。
オルカン | S&P500 | ||
アップル | 4.4% | アップル | 6.9% |
エヌビディア | 4.1% | エヌビディア | 6.4% |
マイクロソフト | 3.7% | マイクロソフト | 6.0% |
アマゾン | 2.4% | アマゾン | 3.7% |
アルファベット | 2.3% | アルファベット | 3.5% |
メタ | 1.5% | メタ | 2.4% |
テスラ | 1.2% | テスラ | 1.8% |
TSMC | 0.9% | バークシャーハサウェイ | 1.7% |
JPモルガン | 0.9% | ブロードコム | 1.4% |
組入銘柄数 | 2,615銘柄 | 組入銘柄数 | 503銘柄 |
手数料の比較
信託報酬ではオルカンが低コストに見えますが、信託報酬に売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用を足し合わせた合計コストでは、オルカンとS&P500はほぼ同等になります。
オルカン | S&P500 | |
購入手数料 | なし | なし |
信託報酬 | 0.05775%以内 | 0.09372%以内 |
売買委託手数料 | 0.006% | 0.002% |
有価証券取引税 | 0.019% | なし |
その他費用 | 0.030% | 0.009% |
総経費率(合計コスト) | 0.113% | 0.105% |
新NISAへの対応の比較
オルカンとS&P500は、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらも対応しています。
オルカン | S&P500 | |
つみたて投資枠 | 〇 | 〇 |
成長投資枠 | 〇 | 〇 |
運用実績の比較
オルカンは2018年10月31日、S&P500は2018年7月3日にそれぞれ設定され、ほぼ同時期に運用が開始されています。2018年11月から2024年12月までの運用実績を比較しました。
どちらも同じような値動きをしていますが、S&P500のリターンが高いことがわかります。この運用期間では世界経済の平均値よりアメリカ経済の成長率が高かったことが、運用実績の差に表れています。

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オルカンとS&P500はどちらがいい?
新NISAで人気のオルカンとS&P500ですが、どちらがいいのでしょうか?
S&P500はアメリカ100%、オルカンはアメリカ企業への依存度が高いものの、そのほかの国にも投資しています。将来のことはわからないためどちらがいいとかはわかりませんが、アメリカ経済とアメリカ以外の経済のどちらに期待するか、が選ぶポイントになります。
- 「世界経済の平均と比較して、アメリカ経済は高い成長率になるだろう」と予想する人はS&P500
- 「今後もアメリカ経済の優位が続くかどうかはわからないので、分散投資がいい」と考える人はオルカン
がおすすめです。

わたしは「世界経済の平均と比較して、アメリカ経済は高い成長率になるだろう」と考えているため、オルカンではなくS&P500を買っています。
オルカンまたはS&P500だけ買っておけばいい?
一般的に投資の世界では分散投資がすすめられています。オルカンもS&P500も株式のみが投資対象なので、分散投資されているとは言えません。債券や不動産や金など、ほかのカテゴリーの資産と組み合わせることで、リスクを下げることができます。
リスクとリターンの考え方や、ポートフォリオについては別で記事を書いていますので参考にしてください。
eMAXIS Slimシリーズ以外のオルカンとS&P500
eMAXIS Slimシリーズ以外にも、全世界株やS&P500に連動することを目指した金融商品は多数あります。代表的なものを紹介します。類似商品であれば、どれを選んでも大きな差はありません。手数料には気を付けて、高くないものを選んでください。
オルカン類似商品
投資信託
ファンド名 | 合計コスト(うち信託報酬) |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.113%(0.05775%以内) |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 0.078%(0.0682%) |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.154%(0.132%) |
ETF
銘柄コード | ETF名 | 合計コスト(うち信託報酬) |
2559 | MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 | 詳細不明(0.0858%) |
VT | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF | 詳細不明(0.08%) |
S&P500類似商品
投資信託
ファンド名 | 合計コスト(うち信託報酬) |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.105%(0.09372%以内) |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 0.076%(0.0638%) |
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド | 0.094%(0.077%) |
ETF
銘柄コード | ETF名 | 合計コスト(うち信託報酬) |
2558 | MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 | 詳細不明(0.077%) |
VOO | バンガード・S&P500 ETF | 詳細不明(0.03%) |
IVV | iShares Core S&P 500 ETF | 詳細不明(0.03%) |
SPY | SPDR S&P 500 ETF TRUST | 詳細不明(0.09%) |